癌について

1. 癌(がん)とは

正常な細胞が何らかの原因で癌細胞に変化し、何十億から何千億個に増えると目に見える大きさになります。さらに無制限に増え続け、周囲の組織を侵し、他の臓器へも移り(転移)、障害をもたらし、放置すれば生命をも奪う病気です。

2. 癌と腫瘍(しゅよう)の違い

腫瘍は細胞が病的に増えたもので、ほとんどの場合腫れ物を作り、良性と悪性があります。良性はある程度大きくなると増えるのを止めたり、自然と小さくなったり消えたりしますが、悪性は増え続けると死に至ります。良性には筋腫・脂肪腫があり、悪性には癌や白血病、があります。癌は悪性腫瘍のうちの一つです。

3. 大腸癌とは

大腸癌は2つの経路でなると考えられています。1つは良性のポリープである腺腫(せんしゅ、アデノーマ)が癌になる経路です。もう一つは正常粘膜が直接癌になる経路です。

腺腫から癌へ
 4. 泌尿器癌とは

尿路上皮癌(膀胱癌、尿管癌、腎盂癌)、腎癌、前立腺癌などがあります。

5. 癌(または腫瘍)マーカーとは

腫瘍マーカー

 癌が直接作る物質や癌の影響で作られる物質が血液や尿中に出てくるのを測ることにより、癌の診断をしようとするものです。図のようにたくさんの癌マーカーがありますが、実は専門医はそれほど重要視しておらず、参考程度のものでしかありません。それ以外の画像診断(エコー、CT、MRI)や生検(バイオプシー:内視鏡で見ながら疑われる組織の一部を摘除し、病理組織検査で癌か判定する)などを参考にして診断します。しかし、かといって画像検査は放射線を浴びたりしますし、生検も身体の一部の組織を取るという侵襲性検査のため、そう頻回に行っていいという検査ではありません。例えば、大腸癌の癌マーカーと知られているCEA(癌胎児性抗原)は、大腸癌以外の・癌、肺癌、胃癌、甲状腺癌、乳癌、泌尿器癌、子宮癌、肝癌、食道癌、卵巣癌の他、肝炎、肝硬変、胃潰瘍、胃炎、糖尿病の癌以外の疾患、さらには老化でも上昇することが知られています。

6. 大腸癌検診としての便潜血検査について

便潜血検査は、大腸で出血があると、便中に血液が含まれ、血液のうちの赤血球のヘモグロビンという物質を測ります。したがって、大腸癌から出る物質を測るという癌マーカー検査とは異なるため、癌以外の炎症などによる出血でも陽性になります。また、大腸癌全てが出血するわけではありませんので、出血のない大腸癌を見つけることはできません。さらに便潜血検査は検診でよく用いられるため、医療費抑制のこともあり、二次検査に回す数を減らすため、約3%の陽性率になるよう低く設定されています。

7. 大腸癌の治療方法

癌が2cm未満の早期には内視鏡治療がされます。2cm以上のものや病期分類I〜III(進行癌)では腸管切除+郭清(かくせい、周囲のリンパ節を摘除すること)を行います。病期分類IV(転移あり)では、遠隔転移部分が切除可能なら、大腸癌および転移部分の切除を行い、切除不可能なら切除以外の治療、化学療法や対処療法がされます。

8. 泌尿器癌の治療方法

内視鏡手術、開腹手術、放射線療法、化学療法、ホルモン療法(前立腺癌)などがあります。

9. 現代医療の問題点としての癌治療費の高額

癌の治療費

 

(がん治療費.comより)

(周):周術期治療費、(検):定期検査費用、(抗):抗癌剤費

 抗癌剤治療の内容はFOLFOXという投薬計画に基づき治療費を計算しています。治療は6ヶ月続き、周術期を含む最初の3ヶ月間は毎月8万円強、残りの3ヶ月間は毎月4万円強の負担となります。FOLFOXにベバシズマブという分子標的薬を加えると、抗がん剤治療の総治療費は180万円程度増加します。

10. 結論

現在は医学の進歩により治る癌が多くなりました。しかし、分子標的薬という新薬は開発に莫大な費用がかかり、そのため非常に高価なものになりました。そのため、高価ゆえ治る癌の治療を断念せざるを得ないという悲劇も起こっています。したがって癌を早く見つけ治療することが肝心です。