XV. 乳癌術前にカイジ薬品(顆粒剤)と化学療法を併用する臨床治療効果

XV. 乳癌術前にカイジ顆粒と化学療法を併用する臨床治療効果

陳前軍、頼煕、司徒紅林、劉鵬煕

(広州中医大学付属広東省中医病院、広東 広州510120) v《中国腫瘍》2004年第13巻に掲載した。

抄録:[目的]カイジ顆粒とCTF方案(サイクロフォスファマイド、ピラルビシン、フルオロウラシル)を併用して乳癌患者の短期治療効果と毒副反応を検討する。[方法]38例の原発性乳癌患者を無作為に2群に分け、即ち治療群(カイジ顆粒併用CTF方案群)と対照群(単純CTF方案群)である。2群患者に対する短期治療効果、毒副反応と術後標本CerbB2の発現情況について比較した。[結果]治療群の総緩解率は91%で、対照群は69%で、明らかな有意差(p<0.05)があった。治療群の白血球減少の程度は対照群より軽く(p<0.05)、血小板、ヘモグロビン及び胃腸反応について両群間に明らかな差が認められません(p<0.05)。治療群の乳癌CerbB2発現陽性率は25%で、対照群が40%両群を比べて明らかな有意差が認められた(p<0.05)がある。結論カイジ顆粒は化学療法の治療効果向上、毒副反応の軽減に一定の臨床価値があり、そのメカニズムは化学療法敏感性に対する腫瘍の関係遺伝子蛋白の発現をコントロールすることに関係するかもしれない。

キーワード:カイジ顆粒;乳腺腫瘍;遺伝子、CerbB2;薬物療法

中国分類番号:R730.53;R757.9

文献標識番号:B文章番号:10040242(2004)05033002

20世紀80年代以来、新しい補助化学療法は乳癌術後の再発移転を減少し、生存率を高めると同時に、腫瘍の塊を縮小して乳房保存手術に有利、生活の質を高めることで次第に臨床で受け入れられるようになった[1、2]。しかし腫瘍は術前化学療法に対して、絶えず獲得性の乳癌多重耐薬性(multidrug MDR)[3]が現れ、或は初めての化学療法に対する耐薬性によって術前化学療法の治療効果を制約した。我が教室は1999年6月2002年12月まで38例の乳癌に対して無作為的に群に分けて、漢方中成薬のカイジ顆粒併用CTF方案と単純CTF方案で術前化学療法を行い、比較観察した。次の通り報告する。

1 試料と方法

1.1 一般材料

全群の38例乳癌患者はいずれも女性で、年齢が34~48歳、中間年齢が43歳、いずれも片側の原発乳癌で;全患者は未閉経で;臨床ステージについて、Ⅱ bが9例、Ⅲ aが16例、Ⅲ bが13例(WHO乳癌臨床ステージ基準に準じて分類する);術後の病理分類はいずれも浸潤性乳管癌である(1981年WHO国際腫瘍組織に準じて分類する)。両群病例の特徴は比較して、明らかな有意差が認められなかった(p>0.05)。

1.2病例の採用と排除基準 採用基準は①女性、未閉経;②乳腺穿刺吸引細胞診で乳癌と診断した;③臨床ステージがⅡ期、Ⅲ期;④術前化学療法に対して承知する。排除基準は①Karnofsky採点が40分以下;②妊娠初期(胎児保護の希望者);③痴呆或はまったく不協力者;④原発性骨髄造血抑制がある者;⑤重要臓器、例えば心臓、肝臓、腎臓などに機能障害があり、化学療法と手術に耐えられない者である。

1. 3治療方法

両群の病例を無作為的に治療群(カイジ顆粒併用CTF方案群)と対照群(単純なCTF方案群)を分けて、治療群が22例、対照群が16例である。両群はいずれもCTF方案を採用し、サイクロフォスファマイド(CTX)が600mg/m2静脈注射、ピラルビシン(THP)が40mg/m2静脈注射、フルオロウラシル(5Fu)が700mg/m2静脈点滴、21日間は一つ治療のコースで、計3コースである。治療群は化学療法開始前の1週間にカイジ顆粒を使用開始し、1回20g、1日に3回、1ヶ月を治療のコースとし、計2治療のコースに投与した。

1. 4治療効果の評定基準 評定基準はWHOの短期治療効果評価基準を参照して、完全緩解(CR)、部分緩解(PR)、無変化(NC)、悪化(PD)に分け、総緩解率がCR+PRである。全病例はいずれも2つ治療のコースの治療を受けてから、短期治療効果、毒副反応(主に消化管と血液学毒性を観察する)及び術後標本CerbB2の発現情況を評定する。

2 結果

2. 1 短期治療効果

治療群の完全緩解 (CR) 率は9%、総緩解率 (CR+PR) は91%で;対照群のCRは6%、総緩解率は69%で、両群を比べると有意差が認められた(p<0.05)。

2. 2 副作用

消化管反応:主に吐き気、嘔吐、下痢と便秘の発生率を観察した。治療群の総反応率が82%(18/22)、対照群は82%(13/16)で、両群を比べて明らかな有意差は認められなかった(p>0.05)、治療群に下痢を起こす例数は対照群より多い。

血液学毒性:各群病例はいずれもある程度の骨髄抑制を表し、白血球の降下が最も顕著で、治療群にI度が12例、Ⅱ度が7例、Ⅲ度が3例、対照群にI度が5例、Ⅱ度が4例、Ⅲ度が5例、Ⅳ度が2例、両群間に全体的に比較して明らかな有意差を認めた(p<0.05)、血小板とヘモグロビンは明らかな差がない。

2.3 術後標本CerbB2の発現情況

治療群では乳癌CerbB2の発現陽性率が25.0%、対照群が40.0%で、両群を比べて明らかな有意差が認められた(p<0.05)。表2省略

3考察

CTF方案は乳癌化学療法によく使われている方案の一つで、どのようにして化学療法方案の臨床治療効果を高め、その毒副作用を軽減することはずっと臨床研究の課題である。カイジ顆粒は1種類新しいタイプの真菌類抗腫瘍の新薬で、その主要な活性成分は多糖蛋白で、腫瘍の生長を抑制するだけではなく、体の免疫力を増強することもできる。1種類理想的な免疫増強と腫瘍抑制剤である[4]。本研究の結果、カイジ顆粒併用CTF方案で乳癌に化学療法を施し、総緩解率が90.9%で、単純なCTF方案の化学療法効果(68.8%)に比べて顕著であることを示した。これはカイジ顆粒が比較的に良好な抗腫瘍活性があることを提示した。 毒副作用の面で、本研究の結果は治療群と対照群ともに、吐き気、嘔吐、下痢と便秘などよく見られる消化管反応の発生率が明らかな差が認められず、しかし治療群患者に下痢を起こす例数は対照群より多く、この結果は文献報告とある程度違う[5]。しかし化学療法による骨髄機能抑制に明らかな緩解作用が示した。 乳癌の中で、C.erbB2遺伝子発現は化学療法に対する乳癌の敏感性と関係する。一般研究の結果、CerbB2発現が高い乳癌はCMF方案に対して不敏感であるが、アントラセン類の化学療法方案に敏感である[6]。本研究の結果はカイジ顆粒が乳癌CerbB2遺伝子蛋白発現に抑制作用があるが、CTF方案と協同作用があることを示した。これは本研究の含有量が比較的に小さく、カイジ顆粒がCerbB2遺伝子蛋白発現をコントロールすると同時に、乳癌のその他の遺伝子発現を抑制するからである。例えば、乳癌多重耐薬性遺伝子蛋白の発現で、これは更にサンプルを拡大して深く研究することを期待されている。

参考文献

「英文文献」

[3]劉鵬煕、劉勤、馮雪萍.術前化学療法と乳癌多重耐薬性との関係[J]。中国腫瘍臨床、2002,29(4):255-257.

[4]周啓康.金克カイジ、チオテパとマイトマイシンCの膀胱癌術後の投与[J].浙江腫瘍、1998,4(4):249-250.

[5]趙文生.金克カイジ併用化学療法は再発性非ホジキンリンパ腫に対する治療効果[J].中国腫瘍、1999,8(5):237-238.

[6]沈鎮宙、邵志敏.近代乳腺腫瘍学の進展について[M].上海:上海科学技術出版社、2002.388389.

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