XXIV. カイジ清膏により誘発されたヒト肺腺癌細胞A549アポトーシスの実験研究

XXIV. カイジ清膏により誘発されたヒト肺腺癌細胞A549アポトーシスの実験研究

黄涛 孔慶志 盧宏逹 戴観書

(武漢市第四病院 430033)

「中華結核呼吸雑誌」2001年 8期

カイジ清膏は薬用真菌「カイジ」の菌質から熱水で抽出したもので、臨床では一定の抗癌効果があることを実証した。さらにその抗癌メカニズムを検討するために、われわれは体外でカイジ清膏により誘発したヒト肺腺癌細胞系A549アポトーシスの作用について研究した。

材料と方法 培養ヒト肺腺癌細胞系A549細胞株を導入し、培養する。調製異なる濃度のカイジ清膏PRMI-1640含有培養液を調製して接種が成功し、対数生長を示したのA549細胞共同で24h培養してから、6hごとに以下の観察及び測定を行い、(陽性対照群)はHydroxycamptothecin100μg/ml、と1012h共同孵化してから測定する[1]。(1)蛍光染色:培養細胞を収集し、洗浄して均一的に塗抹標本をつくり、24h自然乾燥し、置于0.05mg/L のHoechst33258及び0.1mg/Lの硫酸水銀の無カルシウム、マグネシウムのリン酸緩衝染色液に40min作用し、封入してから蛍光顕微鏡で観察、撮影、カウンタする;(2) 電子顕微鏡の観察:上記方法と同じように6×106細胞を収集し、リン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、グルタールアルデヒドで固定、さらにオスミウム酸で染色し、脱水包埋、切片してから透過型電子顕微鏡で観察し、撮影して記録する;(3)フローサイトメトリー分析:同じ方法で2×106細胞を収集、洗浄、固定する、遠心してから100μl二リン酸ナトリウム/クエン酸緩衝液を加え、室温で30min振動し、遠心分離の細胞に100mg/L リボヌクレアーゼA(Rnase A)と25mg/L Propidium lodide(PI)の染色液1mlを加え、4℃暗所で3h染色し、用FACSortフローサイトメトリーで細胞周期を分析する。実験データはSPSS For Windowsソフトで統計学的分析を行う。

結果 Hoechst33258蛍光染色で、清膏の各濃度群は24h後、Hydroxycamptothecin群は1012h後、いずれもアポトーシスの発生を見られた(?1、2)。各群に5個高倍視野ごとにある細胞総数及びアポトーシス細胞数それぞれカウンターし、アポトーシス比率を計算した結果:清膏異なる濃度群はいずれも36hぐらいにアポトーシスのピークに達し、その中に3.0mg/ml清膏群はアポトーシス比率が36.2%最高で;100μg/ml Hydroxycamptothecinは1012hぐらいアポトーシスのピークに達し、アポトーシス率は35.7%であった。両者を比べて明らかに有意差がなかった( t=1.67、p>0.05)。透過型電子顕微鏡で典型的な細胞アポトーシス変化を見られた(?36)。フローサイトメトリー分析(表1):カイジ清膏の濃度は1.5mg/mlより少ない時、主にA549に対する抑制作用を表し、A549はS期からG2/M期に入るのを阻止する。カイジ清膏の濃度は3.0mg/mlの時に、細胞アポトーシスが明らかに増多、G1ピーク前に明らかなsub-G1ピーク(AOピーク)を表し、時間とともに延長し、細胞アポトーシスの比例は明らかに高くなり、36h培養してピークに達し、35.8%になった;その後、濃度を増大し、作用時間を延長しでも、アポトーシス率は逆に下がった。3.0mg/mlカイジ清膏で36h作用した時、A549細胞アポトーシス率の誘発はHydroxycamptothecin陽性対照と比べて、両者は明らかな有意差がなかった( t=1.71、p>0.05)。

考察 カイジ清膏の主要な活性成分は多糖類蛋白。今まで、それは無細胞毒性で、体内の環境を通じて免疫機能に働きて作用を発揮する[2、3] 。本研究では、カイジはA549がS期からG2/M期に進入することを阻止し、G1ピーク前にsub-G1ピークを表し、細胞アポトーシスを誘発することを示した。3.0mg/ml 36hの作用は最強で、その後アポトーシス率は逆に下がり、これは細胞破片の崩壊と関与する可能性がある。この濃度より高くなると、アポトーシス率は逆に下がることは:アポトーシス作用は培養基のpH値(カイジ清膏pH 値は5.5、酸性)、浸透圧等の理化因子と関係すないことを示した。本研究では多種類の方法で典型的なアポトーシスの発生を見られ、フローサイトメトリー細胞分析と蛍光染色のカウンタはアポトーシス比率と相互的に完全に一致し、両者は明らかな有意差がなかった(r=0.964、p>0.05)。細胞アポトーシスの誘発で、槐耳清膏はHydroxycamptothecinに似て、化学療法薬物の毒副作用がなく、しかも免疫を調節でき、一種類の高効率低毒性の抗癌新薬であることに違いない。カイジ清膏は腫瘍細胞アポトーシスを誘発する遺伝子学的証拠について更に研究する必要がある。(本文図16は挿し絵8-6をご参考)

参考文献

1 Robert H、Jane C、Manrin M、et al、 eds.ATCC cell lines and hybridomas .8th ed.Masachusetts :Manassas Press、1994.100.

2 庄毅. 抗癌新薬カイジ散剤に関する研究.中国薬学雑誌、1998、33:273-275

3 丁如寧、鄭泉、蒋唖平ら. マウス免疫機能に対するカイジ清膏及びその多糖類の影響. 南京中医薬大学学報、 1996、12:32-33

基金項目:武漢市衛生局科学研究基金助成項目(2000-148)

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