V. 放射線治療患者56例の造血と免疫機能に対するカイジ顆粒の影響

放射線治療患者56例の造血と免疫機能に対するカイジ顆粒の影響

桂蘭寧、杜建麗、任蓮芳 (蘭州医学院第1付属病院、甘粛蘭州730000) 「腫瘍学雑誌」 2003年

抄録:明確な病理診断があり、放射線治療を受けた末期悪性腫瘍患者56例を選び、放射線治療の過程に金克カイジ散剤の治療を併用し、それぞれ造血と免疫機能に対する影響を評価する。結果:金克カイジ散剤は白血球とヘモグロビン低下の治療に良好な治療効果があり、総有効率は93%と88%、同時にIgG、IgAとIgMの含有量を高めることができ、抗体免疫機能を促進、調節する機能があると示された。

キーワード:造血;免疫機能;金克カイジ散剤;放射線治療法

中図分類番号:R730.59 文献標識番号:B

文章番号:1671170X(2003)05030501

作者は金克散剤(カイジ薬品(顆粒)剤)を用いて、放射線治療を受けた末期悪性腫瘍患者56例を治療し、明らかな治療効果が得られ、次の通りに総括する:

患者と方法

本群56例の患者に、男性が21例、女性が35例。年齢は28歳84歳、平均56歳。その中に上咽頭癌が15例、食道癌が8例、肺癌が7例、子宮頸癌が26例、すべての病例はいずれも病理で実証され、その中に扁平上皮癌が49例、腺癌が4例、 未分化癌が3例。臨床ステージ:Ⅱ期が5例、Ⅲ期が44例、Ⅳ期が7例、ⅢⅣ期病例は91.1%を占める。漢方医学的な弁証:血気両虚と腎虚を主とする。すべての病例がいずれも無力、眩暈、動悸と息切れ、吐き気、消化不良、不眠と健忘、寝汗、喉が渇くなどの症状がある。放射線治療はコバルト60放射線を採用し、標的区域の量が60Gy70Gy、同時に金克カイジ散剤1パックを経口投与、1日3回、連続して12ヶ月を服用する。

《臨床疾病診断根拠、治愈好転基準》によって、著明効果:臨床症状は五項目以上が軽減、或は2項以上が消失した者;無効:すべての症状軽減せず、或は重くなる者;有効:著明効果と無効の中間に介在する。 白血球を高める治療効果の基準 著明効果:放射線治療のコースは順調に終わり、白血球数について治療後が治療前より1.0×10^9/L以上に上昇、或は5.0×10^9/L以上を維持する。有効:放射線治療のコースは順調に終われ、白血球数の上昇は1.0×10^9/Lに足らず、或は3.0×10^9/L以上を維持する。無効:治療後、白血球数は3.0×10^9/L以下まで下がり、或は白血球が下がりすぎるので、放射線治療者が中断される。 ヘモグロビンを高める治療効果の基準 著明効果:放射線治療のコースは順調に終われる。治療後、ヘモグロビンの上昇は20g/L以上、或は120g/L以上を維持する。有効:放射線治療のコースは順調に終われ、ヘモグロビンの上昇は20g/L以上に足らず、或は100g/L以上を維持する。無効:治療後、ヘモグロビンは100g/L以下まで下がり、或はヘモグロビンが下がりすぎるので、放射線治療者が中断された。

結果 臨床症状、白血球数、ヘモグロビンに対する治療効果は表1をご参考、免疫指標に対する影響は表2をご参考ください。

表1臨床症状、白血球数、ヘモグロビンに対する金克カイジ顆粒の治療効果

観察指標 総例数 著明効果 有効 無効 総有効率(%)

臨床症状 56 36 20 0 100

白血球の上昇 56 42 10 4 92.9

ヘモグロビンの上昇 56 26 23 7 87.5

表2体の免疫機能に対する金克カイジ顆粒の影響

観察指標 薬投与前(x±s) 薬投与後(x±s) P

Tc脂質酵素(%) 39.87±8.14 48.97±12.24 <0.01

Th(%) 20.09±6.34 25.16±10.35 <0.05

Ts(%) 21.53±8.20 24.33±7.85 >0.05

IgG(g/L) 13.01±7.35 14.20±6.28 >0.05

IgA(mg/L) 2376±1556 2544±1379 >0.05

IgM(mg/L) 1644±1053 1928±1786 >0.05

考察

臨床では、大部分の癌患者は放射線治療の過程にさまざまな程度の副作用と白血球数、ヘモグロビン値低下、免疫力低下を現した。中国伝統医学では、これは体の血気欠虚、肝腎不足(肝臓、腎臓機能不足)によるものである。カイジは“治風”、“破血”、“益力”の効果があり、それによって御邪(病)外出(病気を追い出す)、近代医学の免疫力を高める観念と一致する。それゆえ、金克(カイジ)散剤を投与した後に血気両虚の臨床症状を迅速に改善することができ、放射線治療過程の不良反応を明らかに軽減して取り除き、腫瘍患者に放射線治療を順調に行わせる。臨床観察では、金克カイジ散剤は白血球とヘモグロビン値低下の治療に良好な治療効果があり、総有効率はもそれぞれ93%と88%、金克カイジ散剤が創傷された骨髄造血機能に対して良好な保護と回復作用があることを示した。表2から、金克散剤は放射線治療患者のT細胞脂質酵素(Tc脂質酵素)とヘルパーT細胞(Th)を明らかに上昇させ(p<0.05),その結果としてTh/Ts(キラーT細胞)上昇させた。同時に、IgG、IgAとIgMの含有量を高めることができて、明らかな有意差がなかったが、放射線治療を中断しない場合になお上昇できるから、金克カイジ散剤が体の細胞免疫と体液免疫を促進、調節する機能があり、しかも投与も便利、投与過程に明らかな毒副作用は見られなかった。ですから、臨床でさらに広く応用する価値がある。

《腫瘍学雑誌》2003年第9巻第5号に掲載

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